2001 年 44 巻 11 号 p. 907-912
症例は61歳, 女性, メキシレチンによるhypersensitivity syndromeに対するステロイド治療中に正常血糖 (79mg/dl) からわずか4日間で糖尿病性ケトアシドーシス (血糖700mg/dl) を発症し, 完全にインスリン依存状態に陥った, 発症時のHb A1c6.6%で, 抗GAD抗体, IA-2抗体, islet cell antibodyはいすれも陰性であった. hypersensitivity syndromeは肝機能障害などの臓器障害を伴うことの多い全身性の重症型薬疹であり, ヒトヘルペスウイルス6型 (HHV6) の再活性化が関与していると考えられている.本症例で極めて興味深いのは, hypersensitivity syndromeによる肝機能障害のピークに完全に一致して急激に1型糖尿病を発症していることであり, 再活性化されたHHV6により膵β細胞が障害された可能性も考えられた.劇症1型糖尿病の病因を考える上で示唆に富む症例と考えられ報告した.