2001 年 44 巻 8 号 p. 687-692
2型糖尿病においてピオグリタゾン (Pio) が線溶, 内皮機能に及ぼす影響を明らかにする. 2型糖尿病患者56名を対象とし, 18名にはPio単独 (Pl群) を, 12名にはグリクラジド (Gli) 単独 (GL群) を, 26名にはPioとGliの併用 (PG群) を12週間投与した. 投与前後で空腹時採血し, 血糖 (FPG), インスリン (IRI), プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1 (PAI-1), フォンヴィレブランド因子 (vWF) を測定した. PI群とPG群ではPio投与後FPGとIRIは有意に低下した. Pio投与後PAI-1とvWFも有意に低下した. GL群ではGli投与後FPGは有意に低下しlRIは有意に増力口したが, PAI-1とvWFは変化しなかった. 2型糖尿病に対するPio投与は血糖コントロール, 高インスリン血症を改善するのみならす, 血液線溶系および血管内皮機能に好影響を及ぼす可能性が示唆される.