糖尿病
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2型糖尿病患者における定常運動負荷試験時の酸素摂取応答の検討
早川 みち子岩橋 正典加藤 順一谷崎 俊郎高田 雅美岸 勝彦池田 善紀井上 正幸石原 健造鹿住 敏
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2001 年 44 巻 8 号 p. 693-698

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抄録

心疾患を合併しない2型糖尿病患者28名 (DM群), 年齢, 性とBMIを一致させた健常対照者25名 (C群) とDMを合併しない軽症慢性心不全患者21名 (CHF群) に運動負荷を行い, 定常負荷開始時のVO2応答曲線から時定数 (τ) と酸素欠損を求めた. また, 症候限界性最大運動負荷からは最大酸素摂取量 (peak VO2) と嫌気性代謝閾値 (AT) を求めた. C群と比較するとDM群のτ (38±13 vs. 27±8 [SD][秒], p<0.001) と酸素欠損 (305±120 vs. 227±103 [ml], P<0.05) は増加しており, その程度はCHF群 (36±10秒, 281±93ml) と同様であった. しかし, peak VO2とATは3群間には差はなかった. 以上, DM患者では臨床的に心疾患を認めなくても運動開始時のVO2応答の遅延があり, 運動耐容能の低下の-因であると考えられた. DM患者の運動療法は低レベルの運動負荷より開始することが望ましい.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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