糖尿病
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妊娠後期から良好な血糖コントロールが得られ, 正常分娩をなし得たインスリン持続皮下注入療法 (CSII) 妊婦の1例
CSII使用上の問題点
宗田 聡鴨井 久司金子 晋金子 兼三佐々木 英夫須藤 寛人
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2001 年 44 巻 8 号 p. 711-715

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抄録

症例は31歳の女性. 24歳時に糖尿病を発症し, 某病院にてインスリン強化療法を受けるも血糖制御は不良で, 28歳よりニプロSP-3HQ機器と速効型非緩衝剤含有インスリンを用いたCSIIが導入された. しかし, HbA1cは9~10%であった. 1999年1月に妊娠し, 妊娠33週目に, 妊娠と血糖管理目的で当院に転院. 入院後もCSIIは継続し1800Kcal/日の6分食に応じたインスリン追加注入を行い, 各食前・食後の平均血糖値を100mg/dlに制御し得た. 合併症は皆無で, 妊娠40週目のHbA1cは5.9%に改善し, 女児を経膣自然分娩した. 児は4180gの巨大児であったが, 奇形は認めなかった. CSIIの有効性は既に確立しているが, ときには本例のように血糖制御不良のままで遷延し, CSII療法の利点が認められないことがある. インスリン治療とりわけCSII療法においてはきめ細かい患者指導が重要であり, そのためにもCSII治療に関する正しい情報の提供と普及が望まれる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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