糖尿病
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デジタル精密体重計の食事指導への応用
秋山 有代石川 晃子奈良 朋子元島 洋子斉藤 寅武竹内 恭子伊原 千賀土田 温子矢澤 麻佐子皆川 真哉保阪 大也大村 栄治今井 康雄松崎 宸河津 捷二
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2001 年 44 巻 8 号 p. 705-709

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抄録

食事指導に自宅での体重測定結果を利用する場合, 従来のアナログ型の測定器では500g以下の測定が十分ではない. そこで, 100~200g単位で測定できる精密体重計を用いて連日朝1回体重を測定し, 結果をグラフに記録してもらい食事指導に応用することを試みた. 2型糖尿病外来患者37名 (Body mass index: 27.4±3.4kg/m2, 平均±SD) を対象とした, その結果, 体重変動を1カ月単位で見た場合, 大きく (1) 体重減少型 (2) 体重不変型 (3) 体重上昇型に分けられ, さらに個々の患者で特徴的な体重変動を示すことが明らかとなった.(1) のタイプは食事療法良好と考え, 同じエネルギー量での継続を促した.(2)(3) のタイプはさらなるエネルギー制限を促すと共に, 個々で異なる体重変動パターンを見ながら問題となる食行動について実行可能な方法を話し合った. さらに, 初めて食事指導を開始した2型糖尿病外来患者16名を対象に, 食事指導における精密体重測定の有用性について前向き介入試験を行った. その結果, 食事指導のみ群は8例中3例 (38%), 体重測定併用群は8例中5例に体重減少が見られた. 後者で体重減少が見られなかった2例は体重記録の中断患者であり, 記録した患者に限定すると6例中5例 (83%) に有効であった. 以上のことから, このような体重測定は比較的簡便で食事療法を行う上で有用であることが示唆された.また, 摂取エネルギー量が適切か否かを判断する良い指標となると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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