糖尿病
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非糖尿病例の経過観察における空腹時血糖値とHbA1cの併用測定の有用性
高橋 修樹加治 清行冨樫 厚仁荻野 淑郎萎沢 利行河津 捷二
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2001 年 44 巻 9 号 p. 745-750

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抄録

健診時 (1985-1990年) に糖尿病を疑われ, 経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) およびHbA1c測定を行った非糖尿病者292名を長期追跡調査した, 経過中に糖尿病を発症した者をスクリーニングするHbA1c値は, 5.6%で感度75%・特異度70%と最適であり, 対象を初診時の空腹時血糖値 (FPG) 別に99mg/dl以下, 100-109mg/dl, 110mg/dl以上の3群に, HbA1c値別に5, 5%以下, 5.6%以上の2群に区分し以下の検討を行った. FPG≧126mg/dlにより定義される糖尿病の累積発症率はFPG別では110mg/dl以上 (≦125) の群で他群より高率であり, FPGとHbA1cを組み合わせた場合, いずれのFPG群もHbA1cが5.6%以上の群は5.5%以下の群より累積発症率は高率で, 初期インスリン分泌指数 (insulinogenic index) 低下例からの糖尿病発症の頻度は高かった. FPGにHbA1c測定を併用することで, FPGが同レベルでも糖尿病発症のハイリスク者を絞り込める可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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