2001 年 44 巻 9 号 p. 761-766
症例は20歳時に糖尿病性ケトアシドーシス (以下DKAと略す) を発症し, その後寛解したが, 5年後に再び糖尿病性ケトーシス (以下DK) を発症し, 以後約1年毎に計5回ものDKを繰り返し, その都度, インスリン投与を必要とした. 抗GAD抗体, ICAは陰性, 尿中Cペプチド (以下CPR) 値もDK発症時には低値であったが, その後回復した. BMIは25前後であり, 正常血糖クランプにてインスリン抵抗性を認めなかった, 血糖コントロール改善後に施行した経口ブドウ糖負荷試験では, インスリン分泌能は初期分泌の低下を認めたが, 繰り返しDKを発症した原因として, さらに高度のインスリン分泌抑制が一過性にあったものと推測された.