2001 年 44 巻 9 号 p. 757-760
症例は32歳女性. 生来健康. 妊娠8週尿糖陽性. 妊娠15週に75gブドウ糖負荷試験にて糖尿病型 (2時間血糖値221mg/dl) を示したが放置, 妊娠24週頃より高血圧, 尿蛋白, 浮腫が出現. 27週に妊娠中毒症状が増悪し, 胎児切迫仮死のため緊急帝王切開術が施行された. 児は超未熟児 (900g) で新生児合併症として, 呼吸窮迫症候群, 高血糖, 低力ルシウム血症を認めたが, 奇形はなかった. 術後母体は, 糖尿病性ケトアシドーシスとなり, インスリン治療が開始された. 出産2カ月後, 浮腫の持続と筋力低下, 右側腹部痛を主訴に当センター初診, 満月様顔貌, 高血圧, 低力リウム血症, 両側肋骨骨折, 血中コルチゾールの上昇, ACTHの低下, 両者の日内変動の消失, 腹部CT所見より左副腎腫瘍によるクッシング症候群と診断した. 腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行, 腫瘍は副腎腺腫であった, 腫瘍摘出後, 血中コルチゾールは正常化, ブドウ糖負荷試験も正常型となった.