抄録
糖尿病患者では, 血圧管理が血糖コントロールと同様に大小血管障害の予防に重要である, しかし, 栄養指導上, 一日食塩量を計算して摂取さぜることは困難であることが多い. 今回われわれは簡便な方法を用いて適正な摂取食塩量の指導を行い, 血圧の変化を検討した. 対象は33名の高血圧合併2型糖尿病患者である, 方法は, 食塩の含有量が5g/day, 7g/day, 10g/dayに相当する汁をランダムに味見させ, これまでの自宅での味つけに相当する汁を選んでもらい, その摂取食塩量を推定した. そして指示された食塩量に相当する汁を試飲させてその差異を体験さぜ, 減塩指導した. 対象者全員の指導前の血圧の平均値は, 収縮期血圧147±4mmHg, 拡張期血圧76±3mmHgであったが, 指導1カ月後の血圧は, 収縮期血圧131±4mmHg, 拡張期血圧68±2mmHgと有意に (それぞp<0.005, p<0.01) 低下した, その低下率はそれぞれ10.8±1.396, 14±4.396であった, このような指導方法は患者の動機付けにもなり, 血圧管理に有用であると考えられた.