糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
有痛性神経障害に対するメキシレチンの投与により房室ブロックが増悪した糖尿病の1例
西海 奏子島田 朗岩永 史郎中川 佳則丸山 博猿田 享男
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 45 巻 6 号 p. 421-426

詳細
抄録

症例は70歳, 男性. 30歳頃に他院で糖尿病, 高血圧と診断され, 食事療法および経口血糖降下剤と降圧剤の投与を開始されたが, 通院は不規則であった. 63歳時より糖尿病性末梢神経障害によると考えられる両下肢のしびれ感および体幹部痛を自覚, 70歳時に下肢の疼痛が増悪し当科に入院した. 入院時, HbA1c10.1%で, 心電図上著明な1度の房室ブロックを認めた, 有痛性神経障害に対してメキシレチン300mg/日の投与を開始し, 翌日より疼痛は軽減した. 投与開始1週間後, 無症状であったが, 心電図でPR時間の延長とWenckebach型II度房室ブロックを認めたため投与を中止し, 4日後心電図所見は入院時レベルまで回復した. メキシレチンの副作用としてII度以上の房室ブロックを生じた報告は極めて少ないが, 本剤の投与開始後には経時的に心電図を記録して催不整脈作用の出現を注意深く経過観察する必要があると考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top