糖尿病
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基礎注入量の変更不可能なポンプから変更可能なポンプに切り替えて良好な血糖コントロールが得られたBrittle型糖尿病の1例
CSII使用上の問題点 (第二報)
鴨井 久司宮腰 将史
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2002 年 45 巻 7 号 p. 495-499

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抄録

症例は51歳女性. 41歳で糖尿病を発症し, 42歳から基礎注入量の変更できないニプロSP-3HQ機器と速効型インスリンでCSllが導入された. 基礎注入量が0.36単位/時間, 追加注入量が朝6単位, 昼5単位, 夕4単位でのHbA1cは8~10%と血糖コントロールは不良であった. 夜間3時の血糖値は35~50mg/dlと低値で早朝は150mg/dl以上のため基礎注入量を変更できるMiniMed507Cポンプを用いて, 基礎注入量は0時から3時まで0.16単位/時間, 3時から7時まで0.44単位/時間, 7時から12時まで0.72単位/時間, 12時から0時まで0.16単位/時間に変動し, 追加注入量は朝9.8単位, 昼3単位, 夕8単位にした, 変更後, 夜間3時の血糖値は100mg/dl前後に, 4日間の平均血糖値は166±100mg/dlから117±66mg/dl, M値も247mg/dlから6.5mg/dl, MAGEも169mg/dlから111mg/dlと改善した. HbA1cも変更3カ月後には7.1%に低下した. CSIIの有効性は確立しているが, 血糖制御の不良が持続し, CSIIの利点が認められないことがある. その要因として本例のように基礎注入量の不適切が存在することから, CSIIでは基礎注入量の変更できる機種の使用が望まれる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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