糖尿病
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2型糖尿病における高感度C-reactive protein高値の意義
インスリン抵抗性および接着分子E-セレクチンとの関連性
松本 一成世羅 康徳安部 恵代富永 丹三宅 清兵衛
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2003 年 46 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

近年, 動脈硬化性疾患のイベント予知因子として, 高感度C-reactive protein (hs-CRP) の測定が有用であることが報告されている.しかし, CRPが高値を示すことの臨床的意義についてはまだ十分には解明されていない.そこで, われわれはCRPとインスリン抵抗性あるいは血管内皮活性化マーカーとの関連を調査する目的で, 患者対照研究を施行した.45例のhs-CRP高値を示す2型糖尿病患者と, 年齢・性がマッチした45例のhs-CRP低値を示す2型糖尿病患者の合計90例を対象とした.CRP高値群は, CRP低値群と比較して, 有意にBody mass index, 中性脂肪が高値であり, HDLコレステロールが低値であった.インスリン負荷試験のK値 (KITT) で測定したインスリン感受性の結果はCRP高値群の方がCRP低値群と比較して有意にインスリン抵抗性であった (KITT 2.29±0.88vs.2.82±1.11%min, p=0.02), また, 血管内皮活性化のマーカーである可溶性EセレクチンはCRP高値群でCRP低値群よりも有意に上昇していた (70.9±29.8vs.55.4±30.8ng ml, p<0.01).以上のことより, CRP高値は, インスリン抵抗性と血管内皮の活性化を反映していることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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