糖尿病
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2型糖尿病患者における通院中断に関連する心理社会的要因
李 廷秀川久保 清川村 勇人平尾 紘一
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2003 年 46 巻 4 号 p. 341-346

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抄録

糖尿病患者では, 通院継続が合併症予防の上で重要であるが, 糖尿病患者の通院中断に影響する要因に関する研究は未だ少ない.本研究は, 2型糖尿病患者の通院中断に関連する要因について検討することを目的とし, 糖尿病専門クリニックを1年以上通院したことのある686名を対象として自記式調査票による郵送調査を行った.
352人から回答 (回答率51.6%) を得た. 通院状況の把握ができた350人のうち, 25人が1年以上の通院中断者であった. 通院中断者は通院継続者に比べ平均年齢が低く, 糖尿病歴が短かった. そこで, 通院中断者25人に性, 年齢と糖尿病歴をマッチング (中断者1人対継続者3人) させ, 通院中断に関連する要因についての比較を行った. 通院中断者には全身が異様にだるいなどの自覚症状を訴えるものが多い一方で, 病気に対する本人の意識として, 治療しても変わらないといった結果期待の低いものが多く, 自分の体に気を配ったり, 体重・血糖値を意識しているもの, 治療のための職場での配慮や病気に対する理解・支援者のいるものが少なく, 趣味生活をはじめとする生活全般が悪くなっていると意識しているものが多いことが示された.
糖尿病患者が通院をはじめとする自己管理継続を促すためには, 糖尿病患者の意識に関する教育のみならず, 社会的支援環境整備のための対策が必要である.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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