糖尿病
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インスリン離脱に長期間を要した腎移植後膵移植の1症例
黒川 暁生松久 宗英大歳 健太郎河盛 段五郎川 伸一狭間 洋至吉内 和冨打越 史洋伊藤 壽記高原 史郎山崎 義光堀 正二
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2004 年 47 巻 10 号 p. 819-824

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抄録

臓器移植法制定後8例目の膵移植で, 初の腎移植後膵移植症例を経験した. 症例は12歳発症1型糖尿病患者 (33歳, 女性) で, 2002年1月2日, 40歳台男性の脳死ドナーからの膵移植目的で当院入院となり, 同日腎移植後膵移植を施行した. 術後の糖毒性を回避する目的で, 十分量のインスリンを用いて随時血糖を150mg/dl以下とすべく血糖コントロールを行った. OGTTとダブルクランプ検査で術後経時的に観察したところ, インスリン分泌能は3カ月から, また抵抗性は6カ月以降の時点で改善を示した. 今回の症例は現在までなされた膵移植症例の中でもインスリン離脱に225日と最も長い期間を要した. その間インスリンを少量必要としながらも血糖値の不安定性から解放され, 膵移植前に比してきわめて安定した血糖コントロールを得ることができた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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