糖尿病
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糖尿病性腎症患者における摂取蛋白量の簡易指標の検討
上原 好宇都宮 一典蒲池 桂子吉原 理恵谷口 幹太横田 太持蔵田 英明松島 雅人田嶼 尚子
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2004 年 47 巻 4 号 p. 291-295

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抄録

糖尿病性腎症 (以下, 腎症) における低蛋白食の指導・実践に際して, 蛋白摂取量の簡便な客観的指標の臨床応用が望まれている. そこで, 随時尿中尿素窒素 (UN) 濃度に着目し, クレアチニン比で表したUN/Cr比と摂取蛋白量との相関を検討した. 腎症患者51名をCcr 30~60ml/min 31名 (A群), Ccr<30ml/min20名 (B群) の2群に分け, 摂取蛋白量を24時間蓄尿からMaroniの式により算出した, A群では随時尿UN/Cr比と摂取蛋白量に密接な正相関を認めた. さらに, ROC曲線 (曲線下面積0.88±0.07) の解析から, 随時尿UN/Cr比のカットオフポイントを4.46とすると, 摂取蛋白量08g/kg/日以上となる感度と特異度は, それぞれ90.48%, 77.78%を示した. B群でUN/Cr比と蛋白摂取量との間に相関は認められなかった. 低蛋白食の適応となるCcr 30~60ml/minでは, 随時尿のUN/Cr比が蛋白摂取量の簡易指標となることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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