糖尿病
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肥満を伴う2型糖尿病患者における減量治療法の新しい試み
榎澤 尚子井上 穣佐藤 勉大塚 史子青木 兼実高橋 育克高橋 隆佐藤 尚太郎升田 雄史谷山 松雄鈴木 晟時
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2004 年 47 巻 8 号 p. 635-641

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抄録
肥満症の減量治療をする上で体重減少が停滞する適応現象 (以下APと略す) が問題となる. 短期間摂食量を増量することでAPからの脱出が可能であるかを検討した. 肥満を伴う2型糖尿病で8週間入院加療した患者を対象とし, 低工ネルギー食 (以下LCDと略す) は男性1,000kcal/日, 女性800kcal/日を施行. AP出現後, AP脱出のためにLCDから標準食 (35kcal/kg標準体重) に1週間変更し, その後再びLCDに戻した群をA群 (n=15) とし, 年齢, BMl, 糖尿病罹病年数, HbA1cなどに有意差を認めず, AP出現にもかかわらずLCDを8週間継続した群をB群 (n=14) の2群に分け検討した. A群は全例においてAPから脱出でき, 8週目には123±2596の体重減少がみられ, B群は8.8±2.7%の体重減少にとどまった. APの脱出には, 短期間摂取エネルギーを増量して再びLCDに戻す方法が有効で, しかも同期間でより効果的な体重減少が認められた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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