糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
発症因子として疼痛の関与が示唆されるADH不適合分泌症候群を合併したインスリン治療後有痛性神経障害の1例
三輪 一真濱田 洋司中島 英太郎成瀬 桂子中江 美佳渡会 敦子佐藤 祐造中村 二郎
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 47 巻 9 号 p. 743-747

詳細
抄録

症例は41歳, 男性. 1997年 (39歳時) に糖尿病を発症し経口血糖降下薬を内服していたが, 血糖コントロールは不良であった. 1999年2月に他院にてインスリン治療を開始し, 血糖コントロールは著しく改善したものの, 重篤な治療後有痛性神経障害 (PPN) が出現したため当院を受診した. 入院時に抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (S-ADH) を認めた. SIADHはカルバマゼピン中止による改善を認めず, 疼痛緩和に伴い治癒した. 悪性腫瘍, 呼吸器および中枢神経疾患などの器質疾患が除外され, 薬剤の関与も否定的であったため, PPNによる疼痛をSIADHの主要な原因と考えた. 慢性疼痛刺激がSIADHを惹起するか否かは未だ見解の一致を見ていないが, その発症に有痛性神経障害の関与が強く示唆される症例を報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top