糖尿病
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自殺企図にてインスリン1, 200単位を皮下注射した2型糖尿病の1例
玉井 昌紀英 肇古田 浩人坂本 浩一濱西 徹木村 りつ子巽 邦浩下村 裕子小林 正人若崎 久生松本 英作西 理宏中尾 大成佐々木 秀行南條 輝志男
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2004 年 47 巻 9 号 p. 755-758

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抄録

症例は63歳, 女性, 2型糖尿病, 妄想性障害にて加療中, 自殺企図にてインスリン1200単位を皮下注射し入院となった, 約4日間低血糖が持続し, 治療のために投与したブドウ糖の総量は1.050gであった. 経過中特に重篤な合併症や後遺症を認めなかった. 本症例を含む10症例の検討では, 低血糖消失までの時間は14時間から6日で, 数百単位以上のインスリン投与例のほとんどは2日間以上低血糖が持続していた. また, 治療に要したブドウ糖総量は170-3, 100gで, 単位時間当たり平均約18gが投与されていた. 報告例は全例糖尿病患者で, 1型と2型糖尿病患者がほぼ同頻度に認められた, 基礎疾患としてうつ病などの精神疾患が多く, 再発例も2例認められたことから, 再発予防のための十分な精神的ケアも必要であると思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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