日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌
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相似拡大的頑健効用投資家の消費と長期証券投資の最適化問題に対する近似解析解
バトボルド ボロルソフタ菊池 健太郎楠田 浩二
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2019 年 62 巻 p. 71-89

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抄録

世界金融危機以降,想定する確率過程自体を特定できないナイトの不確実性を考慮した投資の頑健最適化の必要性に対する認識が高まっている.本稿では,Maenhoutにより提案されている「相似拡大的頑健効用」を有する投資家の消費と長期証券投資の最適化問題を,短期金利及びリスクの市場価格が状態変数に依存し,投資対象に全満期の物価連動債を含めた一般性の高い証券市場モデルで考察する.価値関数の従う偏微分方程式は非線形・非斉次方程式となり,閉じた解を持たないが,Campbell and Viceira,楠田の対数線形近似法を援用して近似解析解を導出する.近似最適投資は,相対的危険回避度に加え,ナイトの不確実性に対する投資家の忌避の度合を表す「相対的曖昧性回避度」に依存することを明らかにする.

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© 2019 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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