凍結および乾燥研究会会誌
Online ISSN : 2432-9916
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13. 乾燥過程の微生物の不凍水分と疎水性フィルター上でのE.coliの乾燥死滅(昭和51年度第22回凍結及び乾燥研究会講演並びに討論要旨)
高野 光男浅田 祥司信夫 孝昭芝崎 勲
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1976 年 22 巻 p. 86-89

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抄録
非凍結の乾燥いわゆるL-乾燥が,凍結に対してそれ程弱くない菌に対しても生残率が高いこと,変異の可能性の少ないことなどから注目されている.しかしL-乾燥と凍結乾燥の両者による障害の程度を同一の含水度で比較した例は少ない.根井らは,凍結乾燥過程におけるEscherichia coli Bの死滅が不凍水分(18%)を失うことによって増大すること,さらに残水度5%まで乾燥したときの生残率は乾燥温度(20℃と-20℃)によらないことを報告した.凍結乾燥における二次乾燥過程の脱水の温度係数は死滅の温度係数と全く同じであることは,生残率が乾燥法にはよらず,残水度のみによってきまることを示唆している.L-乾燥で残水度を制御する方法は,その平衡水蒸気圧によるのが最も容易である.本報告ではまずL-乾燥過程での不凍水分に対応する水蒸気圧(水の活性,Awとして)を求め,次に種々の平衡水蒸気圧下においた疎水性フィルター上のE.coliの生残率をしらべ,不凍水分との関連を調査した.
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© 1976 低温生物工学会
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