凍結および乾燥研究会会誌
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凍結乾燥による鉱工業用微生物の保存に関する研究 : 酵母について(昭和53年度第24回凍結及び乾燥研究会特別報告および研究報告)
木村 和夫相川 忠治伊藤 潤二
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1978 年 24 巻 p. 26-30

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抄録
酵母を長期に保存する場合,種々の保存法がある.凍結乾燥法も有効な保存法の一つである.凍結乾燥する場合,凍結条件,乾燥条件,保護剤の種類などさまざまな条件があるが,それぞれの条件下での生存率を求め,いかに生存率を高め保存性をよくするかについて検討を行なった.S. cerevisiaeを48時間培養し,スキムミルク,グルタミン酸ソーダ,しょ糖の各保護剤を用い,細胞内凍結を起こさせないため,緩慢凍結を行ない,試料全体の温度や氷晶形成が十分平衡に達した時点で乾燥させた.著者らは従来よりスキムミルク10%にグルタミン酸ソーダ1%添加した保護剤が有効であるとしてきたが,酵母についてはさらにしょ糖を加えた保護剤がより有効であり,しょ糖濃度は5〜10%が最適と考えられた.乾燥時間を変えて生存率を調べたが,5時間では処理直後の生存率は良好な結果を得たが,保存性が悪かった.15時間乾燥の場合,前者に比べて10%程度劣っていたが,保存性についてはややよい結果を示した.しかし過度の乾燥では,直後の生存率および保存性についてもよい結果は得られなかった.
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© 1978 低温生物工学会
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