凍結および乾燥研究会会誌
Online ISSN : 2432-9916
Print ISSN : 0288-8297
3. L-乾燥保存による変異誘発を防止する保護剤(第2報) : Thiourea, AdonitolおよびCysteineによるDNA一本鎖切断の防止(昭和59年度第30回凍結および乾燥研究会特別講演および研究会報告)
坂根 健今井 紘坂野 勲
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1984 年 30 巻 p. 17-22

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抄録
大腸菌のL-乾燥保存において,蒸留水を分散媒に用いてL-乾燥するとDNA一本鎖に切断が生じた.この乾燥過程で生じるDNA鎖切断は3%MSG添加リン酸カリウム緩衝液を分散媒に用いることで防止された。しかしながら同分散媒は乾燥標品を保存する過程で起こるDNA鎖切断防止には無効であった.分散媒に添加したthioureaおよびadonitolは保存過程で起こるDNA鎖切断を防止した.両化合物は生細胞の過酸化水素処理においても顕著な保護効果を有したことからラジカル除去剤として作用することによりDNA鎖の切断を防止するものと推察される.cysteineにはL-乾燥標品DNA鎖の切断を防止する作用は認められなかった.
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© 1984 低温生物工学会
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