凍結および乾燥研究会会誌
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5. 微細藻類二種Scenedesmus acutus, Pediastrum duplex(緑藻,クロロコックム目)の凍結保存法の検討 : 凍結後の生残と増殖について(昭和59年度第30回凍結および乾燥研究会特別講演および研究会報告)
樋渡 武彦笠井 文絵渡辺 信根井 外喜男
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1984 年 30 巻 p. 27-31

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抄録
Scenedemus acutusとPediastrum duplex 2種類について異なる保護剤と凍結方法の組み合わせによる凍結融解後の生残率と増殖様式について検討した.保護剤はDMSO,グリセリンとPVPの3種類,凍結方法は二段階法と急速法を使用した.S. obliquusではDMSOの10%・二段階凍結法が,P. dmplexではDMSOの10%・急速凍結法が最も高い生残率を示した.PVPの保護効果は両種ともほとんど認められなかった.凍結融解後の増殖様式について増殖が認められた場合において両種とも各凍結条件での対数増殖期の傾きと定常期の細胞密度にはほとんど差はなかったが,見かけ上の誘導期の長さに違いがみられた.P. duplexでは保護剤無添加・急速凍結法とPVPの10%・急速凍結法で全ての細胞が死滅したが,S. acutusではこのような結果は得られなかったことより,種類によって凍結耐性に違いがあることが判明した.
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© 1984 低温生物工学会
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