抄録
Scenedemus acutusとPediastrum duplex 2種類について異なる保護剤と凍結方法の組み合わせによる凍結融解後の生残率と増殖様式について検討した.保護剤はDMSO,グリセリンとPVPの3種類,凍結方法は二段階法と急速法を使用した.S. obliquusではDMSOの10%・二段階凍結法が,P. dmplexではDMSOの10%・急速凍結法が最も高い生残率を示した.PVPの保護効果は両種ともほとんど認められなかった.凍結融解後の増殖様式について増殖が認められた場合において両種とも各凍結条件での対数増殖期の傾きと定常期の細胞密度にはほとんど差はなかったが,見かけ上の誘導期の長さに違いがみられた.P. duplexでは保護剤無添加・急速凍結法とPVPの10%・急速凍結法で全ての細胞が死滅したが,S. acutusではこのような結果は得られなかったことより,種類によって凍結耐性に違いがあることが判明した.