凍結および乾燥研究会会誌
Online ISSN : 2432-9916
Print ISSN : 0288-8297
6. 医薬用凍結乾燥機における不均等加熱の分析及び乾燥庫壁温制御による均等加熱の達成(平成2年度第36回凍結及び乾燥研究会研究報告,創立30周年記念号)
小林 正和砂間 良二原島 好
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1990 年 36 巻 p. 41-49

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抄録
1)諸論者の既報でも指摘されてきたが,棚端末影響は棚温一様性(例えば全段,全域±1℃)その他,今日定着している制御諸基準の許容度を遥かに超える桁違いのバラツキ要因であり,棚温度の一様性等の現在制御精度の効果を活かそうとすれば,庫壁温度を制御するシステムは必要不可欠である.2)実験装置の試作を通じて,予備凍結と乾燥の過程における主要な品質影響諸因子を制御できる.コンパクトな「簡易実験(パイロット)用凍結乾燥機」を開発し,同様の機能をもつ生産規模装置の基本設計をえた.3)均等加熱のためには予備凍結において均等な凍結体を造ることが必要であり,充分深く冷却した棚上にバイアルを配置することが有効な場合があることを確かめた.4)棚/バイアル凍結乾燥における棚端末影響の主要原因が,乾燥庫壁面及び棚周辺の余白面からの追加入熱にあること,及び庫壁面の熱放射(吸収)率を向上させ,壁温度をトラップ温度と棚温度の中間適値に制御することにより,棚端末影響を殆ど解消できることを確かめた.5)生産規模の装置においては,壁の熱放射吸収率を約0.3〜0.4以上に調整し,壁温を棚温とトラップ温度の中間適値に保つこと,最適壁温は,採用する温度範囲における装置固有の定数Cを見出し,式:t_w<t_m,Δt_w=CΔt_h(ただし,Δt_w≡t_m-t_w,Δt_h≡t_h-t_m)の壁温を維持すること(棚温度,真空度とともに予め壁温プログラムを設定,または棚温度と品温をモニターし追値制御),この基本を試行錯誤によりさらに微調整することにより選定できる.
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© 1990 低温生物工学会
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