観光学評論
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ポスト東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のスポーツ ツーリズム政策
伊藤 央二
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2020 年 8 巻 1 号 p. 45-53

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抄録

本研究の目的は、これまでの国内のスポーツツーリズム政策の変遷を概観すること、ポスト東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)のスポーツツーリズム政策について考察することである。日本スポーツツーリズム推進機構の創設や地域スポーツコミッションの推進等、東京2020だけではなく、ポスト東京2020のスポーツツーリズムの持続的発展に向けた土台作りが国内で着々と進んでいる。また、東京2020の最大のレガシーがインバウンド観光の活性化であると期待されているように、スポーツツーリズム政策として日本の自然が存分に活かされたウィンタースポーツ、登山・ハイキング・トレッキング、ウォーキング、サイクリングなどを含むアウトドアスポーツツーリズムと日本発祥・特有の柔道、空手、剣道,大相撲を観光アトラクションとした武道ツーリズムが推進されている。この2種類のスポーツツーリズムは日本を魅力的なスポーツツーリズムデスティネーションに変貌させる可能性を秘めるが、オーバーツーリズムや真正性/商品化といった議論を深め、今後のスポーツツーリズム政策に取り入れていく必要性がうかがえる。加えて、東京2020のレガシーを最大限に活用した競技施設使用・ツアー、ミュージアム見学、ホストタウン訪問などのサプリメンタル観光行動が、ポスト東京2020のスポーツツーリズム振興に効果的であると考えられる。

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