2019年にラグビーワールドカップが日本で開催された。2020年にはオリンピックとパラリンピックが日本で開催される。このように、いまスポーツが空前の熱気を帯びている。だがその一方で、スポーツは体罰、八百長、ドーピングなどのさまざまな社会問題を起こし続け、連日のようにメディアを賑わせている。
ツーリズムもまた、空前の熱気を帯びている。ツーリズムの隆盛は、京都や渋谷などの観光地を訪れてみれば一目瞭然である。そこは朝の通勤ラッシュと見紛うほどの混雑ぶりだ。だがその一方で、ツーリストが集中することで地元コミュニティに過大な負荷をかけてしまうというオーバーツーリズム現象は、ツーリズムによって地域の活性化や、経済成長を目論む政府方針の大きな課題となっている。
ともあれスポーツとツーリズムは、現在グローバルな規模で人気を博しているわけだが、両者の文化的出自がともに18~19世紀のイギリスであるという事実は興味深い。しかもこの共通性は偶然の一致ではない。
そこで本論文では、スポーツとツーリズムの文化史を再構成しながら、21世紀におけるスポーツとツーリズムの社会的可能性を展望してみたい。
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