観光学評論
Online ISSN : 2434-0154
Print ISSN : 2187-6649
オリンピック開催地の都市再生とその観光学的意義
レガシー構想以後の「オリンピックと観光」の地平
小澤 考人
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2020 年 8 巻 1 号 p. 85-101

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抄録
現在では自明ともいえる「オリンピックと観光」の結びつきは、一世紀を超える近現代オリンピック史の中では比較的最近のことであると言われる。そこで本稿では、第一に、現在のように「オリンピックと観光」が結びつくに至った文脈と経緯について検討した。その結果、21世紀のオリンピック開催に正当性を与えるIOCのレガシー構想によって、開催都市がレガシー戦略の一環として観光政策に力を入れる傾向が高まることを指摘した。第二に、それを最も象徴する近年の大会として、2012年ロンドン大会における観光政策に焦点を当て、特にオリンピック開催地における都市再生の動向に注目してその観光学的意義を考察の対象とした。その結果、(a)プレイス・イメージの向上に関わるブランディング戦略とともに、(b)オリンピック開催地をデスティネーションとして創造する都市再生のプロセスを広義の観光政策として捉えることが可能であり、かつ必要でもあること、またこれに関連して「居住・訪問・ビジネス」の三要素を合わせもつクリエイティブシティ(創造都市)の戦略など、都市再生のプロセスについても広義の観光政策の理論的課題と結び付けて考察することの必要性を指摘した。
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© 2020 観光学術学会
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