日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-4
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一般演題(ポスター)
アラビアガムのラットを用いた90日間反復投与毒性試験
*土井 悠子市原 敏夫吉野 裕子萩原 昭裕小笠原 健佐々木 泰司中村 幹雄朝元 誠人白井 智之
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抄録

食品添加物のアラビアガムは、アカシア属の樹木の分泌液から生産され、ガラクトース、アラビノースなどから構成される水溶性の多糖類で、増粘剤として広く食品に使用されている。アラビアガムは天然物であるため、気候変動などにより品質にバラツキが生じる。そこで、安定した品質の得られる製法により生産したアラビアガム(スーパーガムEM)の一般毒性学的性質を検討し、あわせて無毒性量(NOAEL)を明らかにする目的で、ラットを用いた90日間反復投与毒性試験を実施した。
5週齢のF344系ラット雌雄各群10匹に、アラビアガムを0、1.25、2.5および5.0%の濃度で飼料中に混じて90日間、自由に摂取させた。投与最終週に尿検査および眼科学的検査を行い、投与期間終了後、血液学的検査および血液生化学的検査を行った。また、剖検を行い、採取した主要器官の重量を測定するとともに、全身諸器官の肉眼的病理学検査および病理組織学的検査を実施した。
各濃度のアラビアガム投与群において、実験期間中に死亡例を認めず、一般状態についても異常を認めなかった。尿検査および眼科学的検査では、いずれの投与群においても異常所見は観察されなかった。内容物を含む盲腸重量において、雌の全投与群および雄の5.0%投与群で有意な高値を認めた。しかし、内容物を含まない盲腸重量には差を認めておらず、病理組織学的検査でも盲腸に変化を認めなかった。その他、血液学的検査、血液生化学的検査、器官重量、肉眼的病理学検査および病理組織学的検査において、明らかに毒性学的影響を示す変化は認められなかった。
今回実施した各種検査の結果、アラビアガムによる明らかな毒性学的影響は認められなかった。以上のことから、アラビアガムの無毒性量(NOAEL)は5.0%(雌3,296 mg/kg/day、雄3,117 mg/kg/day)と算定された。

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© 2005 日本毒性学会
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