日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-8
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一般演題(ポスター)
強制経口投与が幼若ラットの発育に及ぼす影響
*永久井 裕子磯貝 ゆみ堀本 政夫
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抄録

新生児や小児に医薬品を適用した場合に思わぬ副作用が発現する危険性が知られているが,医療現場で小児等に対して使用されている医薬品の半数以上が成人用医薬品の適応外使用だといわれている。このような現状の改善を妨げている要因の一つとして,幼若動物を用いた非臨床試験の実施の困難さが挙げられるが,実際に幼若動物を用いた非臨床試験に関するデータの蓄積や経験も十分とはいえない。そこで,今回,我々は強制経口投与手技が幼若ラットの発育や成長に及ぼす影響について調べた。
妊娠ラットを自然分娩させ,生後1日(PND 1)で交換哺育を行ない,PND 4に一腹あたりの出生児を雌雄各4匹に調整した。雌雄ラット各16匹(母獣4腹)にPND 7からPND 49まで0.5% Methylcellulose水溶液を10mL/kg/日で強制経口投与し,一般状態観察,体重測定,摂餌量測定(離乳後)を実施し,同様に設けた無投与群と比較した。また切歯萌出,眼瞼開裂,膣開口,陰茎包皮分離を観察し,生後の身体的発達の指標とした。
試験期間中,無投与群では死亡例がみられなかったのに対し,投与群では気管内投与あるいは上部消化管の損傷により雄2例が死亡した。一般状態観察では,死亡例で体温低下,活動性低下,努力性呼吸および立毛がみられたが,その他に著変は認められなかった。雄の摂餌量,体重増加量および体重値において投与群で無投与群と比べて有意な低下がみられ,強制経口投与がこれらの値に影響を与え得ることが示唆された。身体的発達はいずれの指標においても雌雄共に両群間で有意な差は認められなかった。
本試験において幼若ラットに強制経口投与を行った場合,雄ラットの体重増加を軽度に抑制することが示されたことから,幼若動物を用いた毒性試験では強制経口投与による影響についても考慮が必要であることが示唆された。

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© 2005 日本毒性学会
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