日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: Y-8
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優秀研究発表賞応募演題
亜鉛による腎細胞障害へのNADPH oxidaseとERK活性化の関与
*幸田 祐佳松永 佳子河合 悦子玄番 宗一
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抄録
腎臓は金属による影響を受けやすく、水銀やカドミウムによる腎毒性にはフリーラジカルが関与すると考えられている。亜鉛はサプリメントとして使用されているが、亜鉛の腎障害については知られていない。亜鉛による脳神経細胞障害の進展にERKの活性化が関与すること、およびその障害が抗酸化剤により抑制されるとの報告がある。今回、培養腎上皮細胞株LLC-PK1を用いて、亜鉛による腎細胞障害性を調べ、それへのフリーラジカルおよびERKの関与について検討した。LLC-PK1細胞において、亜鉛(30 μM)は、極めて早期に取り込まれ、24時間後に細胞障害の指標であるLDH遊離を引き起こした。亜鉛暴露3時間後には活性酸素(ROS)産生の増大がみられた。抗酸化剤DPPDは、亜鉛によるROS産生増大および腎細胞障害を抑制した。このような亜鉛によるROS増大の産生源を調べるために、NADPH oxidase の関与について検討したところ、その阻害剤DPIは亜鉛によるROS産生の増大および細胞障害を抑制した。亜鉛暴露3時間後にNADPH oxidaseの活性化に関わるp67phoxサブユニットのサイトゾル画分から膜画分へのトランスロケーションが引き起こされた。亜鉛による腎細胞障害の進展へのERKの関与、およびそれとROS産生の増大との関わりについて検討した。亜鉛暴露6時間後において、ERKの活性化が引き起こされた。抗酸化剤DPPDは、亜鉛によるERK活性化を抑制した。MEK阻害薬であるU0126は、亜鉛による細胞障害をほぼ完全に抑制したにもかかわらず、ROS産生には全く影響しなかった。これらの結果から、LLC-PK1細胞において、亜鉛は、極めて早期に細胞内に取込まれ、NADPH oxidase の活性化を引き起こすこと、およびその結果、産生されたROSがERK活性化を介して、腎細胞障害を進展させることが示唆される。
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© 2005 日本毒性学会
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