日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-099
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トキシコパノミクス
Percellome手法を用いたマウスES細胞分化系における分化マーカー遺伝子の発現パターンの解析
*高木 篤也北嶋 聡中津 則之五十嵐 勝秀相崎 健一菅野 純
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抄録
【目的】ES細胞から形成される胚様体(Embryoid body:EBと略す)は胎児の卵筒胚(egg cylinder)に近似しており、初期胚への影響を調べるために利用されている。我々は、EBと胎児の分化を遺伝子レベルで比較することを目的に、細胞1個当たりのmRNAのコピー数で表すことが出来るPercellome手法を用いた定量的マイクロアレイ法を用いて解析した。【方法】マウスES細胞(TT2)を LIFを除いたES培地で、最初の2日間はhanging drop法で、次の5日間は浮遊培養法で、計7日間培養した。ES(0日)と分化培養開始1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7日後と0.5日ごとにEBを採取してプールし、サンプルとした。 RNAはRNAeasy(キアゲン社)で抽出、蛍光ラベル後、40000以上の遺伝子解析が可能なアフィメトリクス社のGeneChip Mouse Genome 430 2.0 Arrayを用いて遺伝子発現解析を行い、さらに、正常マウス胎児の分化マーカー遺伝子の発現パターンと比較した。【結果及び考察】中胚葉のマーカーとして知られているbrachyuryはEBの分化3日後をピークに一過性に増加し、中胚葉由来の心筋のマーカーであるcardiac actinは分化5日目より増加した。一方、胎児では、brachyuryは胎齢7.5日をピークに一過性に発現が見られ、cardiac actinは胎齢7.75日から増加するなど、それぞれ良い関連性が認められた。以上、EBおよび胎児の発生過程を連結した指標を同定し、今後のEBを用いた発生影響解析に利用出来ることが期待された。
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© 2006 日本毒性学会
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