日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-102
会議情報
トキシコパノミクス
キャピラリー電気泳動・イオントラップ型質量分析装置を用いたメタボノミクス解析法の開発
*田辺 和弘諫田 克也太田 哲也山崎 真務台 衛井上 裕章内村 洋一中川 幸光
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抄録
近年,バイオマーカーを見出す技術の一つとして生体内代謝物を網羅的に解析し,変化に最も影響を与えている因子を特定する技術であるメタボノミクスが注目されている. 演者らは極性低分子代謝物の分離に優れるキャピラリー電気泳動と微量成分の検出およびスキャンモードの測定感度に優れるイオントラップ型質量分析装置を組み合わせた分析装置CE/MSを用いてメタボノミクス解析システムを開発した. メタボノミクス解析では,複数の測定試料から検出される数千のピークを比較する必要がある.しかし,CE-MSでは温度や試料中の塩濃度の影響を受けて移動度が大きく変動することから,異なる試料間の同じ成分に由来するピークを特定する技術を確立する必要があった. 演者らは,複数の内部標準物質を用いた補正プログラムを開発し,複数の生体試料中から得られる1500_から_3000ピーク程度の増減を比較解析することを可能とした. 次に約500の標準物質について移動度,m/z,ピーク強度,MS/MS等に関する情報を登録したデータベースを作成し,生体試料中から検出されたピークについてデータベースと自動的に比較することを可能にした.さらに,代謝マップ上にその増減をグラフィック表示させる機能を付与した.  このメタボノミクス解析システムは,トキシコロジーのみならず創薬および臨床評価において,毒性,有害事象および薬効の新たなバイオマーカーを検討するツールとしても期待される.
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© 2006 日本毒性学会
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