日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-104
会議情報
トキシコパノミクス
キャピラリー電気泳動・質量分析計(CE/MS)を用いたα-naphtylisothiocyanate誘発ラット肝毒性に関するメタボノミクス検討
*山崎 真太田 哲也田辺 和弘諫田 克也内村 洋一中川 幸光務台 衛井上 裕章
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
キャピラリー電気泳動と質量分析計を組み合せたCE/MSはイオン性の代謝物を網羅的に感度よく測定する方法としてメタボノミクスへの応用が期待されている. 演者らは,イオントラップ型質量分析計を組み合わせたCE/MSによるメタボノミクス解析系を確立した. 本解析系の有用性を確認するため,肝毒性物質であるα-naphtylisothiocyanate(ANIT)をラットに投与した際の生体内代謝物の変動について検討した. 6週齢の雄ラット(Crj:CD(SD)IGS)にANIT 150 mg/kgを単回経口投与し,対照群には媒体を同様に投与した. 投与3および7日後にそれぞれ血液および肝臓を採取するとともに,投与後2_から_3および6_から_7日の24時間尿を採取した. 尿,血漿および肝臓について適切な前処理を行った後,CE/MSにて生体内代謝物を測定した. また,血液生化学検査を実施した. 血液生化学検査の結果,ANIT群で投与3日後にAST,ALTおよび総ビリルビンの顕著な上昇が認められたが,投与7日後にはこれらの指標の回復または回復傾向が認められた. CE/MS測定の結果,ANIT群の尿,血漿および肝臓は対照群に比べ,投与3日後のサンプルでTCAサイクル,アミノ酸代謝経路および尿素回路の代謝物をはじめ数多くの変動ピークが認められた.これらの変化は,投与7日後では減少し,ANIT投薬後の代謝物の変動は血液生化学の変化と一致した.
著者関連情報
© 2006 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top