日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-123
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生殖・発生・幼若毒性
免疫抑制剤Leflunomideのマウスにおける催奇形性メカニズムの検討
*福島 亮金森 進兼藤 雅子中村 和市加藤 育雄
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抄録
Leflunomide(LEM)はpyrimidineヌクレオチドのde novo合成に必須なDihydroorotate dehydrogenase(DHODH)およびチロシンリン酸化酵素の阻害作用を持つ免疫抑制剤である.これまでの実験で,妊娠マウスへのLEM投与により,外脳,口蓋裂,四肢および尾部の異常といった多様な奇形が発現することが明らかになった.そこで本実験では,LEMの催奇形性とDHODH阻害作用との関連を検討するために,uridine併用投与により奇形発現が抑制されるかどうかを調べた.LEMの催奇形性の原因がDHODH阻害であれば,uridineを併用投与することによってsalvage経路からヌクレオチドが供給されることにより,LEMによる奇形発現が抑制されると推察される.妊娠10日のマウスにLEM 70 mg/kgを単回経口投与し,uridine併用投与群では,LEM投与の0.5,4,9および24時間後(4回)に,または0.5および4時間後(2回)に,uridine 1000 mg/kgを反復腹腔内投与した.結果,LEM投与群では全胎児で異常が見られたが,uridine併用によって異常児発現率の低下が認められた.また,4回併用群の発現率が2回併用群よりも顕著に低値であった.以上の結果から,uridine併用によって,LEMの奇形発現が抑制されること,およびその抑制はuridineの投与回数に依存することが示された.本実験の結果,LEMによるDHODH阻害が催奇形性の原因であることが明らかになった.
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© 2006 日本毒性学会
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