日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-143
会議情報
生殖・発生・幼若毒性
幼若ラットの血清中テストステロンおよびLH濃度の成長に伴う変化
*板村 理央浅岡 由次堀本 政夫堀井 郁夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】性ホルモンは性成熟のみならず,幼若期には脳の性分化などに関わることが知られており,幼若期に受けた性ホルモンの変化による影響は成熟期に現れることもある。したがって幼若動物における性ホルモン濃度の変化を知る事は毒性予測の面から重要であるが,幼若動物の性ホルモンに関する基礎的なデータは少ない。そこで,本実験では日齢の異なるラットを用いて,血清中のテストステロンおよびLH濃度の成長に伴う変化を調べた。
【方法】生後16日齢,27日齢,30日齢,58日齢,および82日齢のCrl:CD(SD)雌雄ラットよりイソフルラン麻酔下にて腹大静脈より採血を行った後,ELISAにより血清中のテストステロン,LH濃度を測定した(16日齢:8 rats/sex,他:6 rats/sex/group)。
【結果】雄では,血清中テストステロン濃度は16日齢,27日齢,および30日齢では大きな変化はなかったが(0.26-0.36 ng/ml),58日齢および82日齢では16日齢に比べてそれぞれ約3倍(0.77 ng/ml),約12倍の高値を示した(3.16 ng/ml)。雌ではテストステロン濃度は全ての日齢で低い値(0.03-0.12 ng/ml)を示し,大きな変化は見られなかった。一方,血清中LH濃度については,雌雄共に30日齢までは大きな変化は見られないが(1.57-3.05 ng/ml),58日齢(3.09-5.82 ng/ml)から82日齢(5.85-6.58 ng/ml)にかけて増加傾向が認められた。
【まとめ】血清中テストステロン濃度は,雄では生後58日から82日齢で急激に増加し,雌では日齢に関わらず低値を示した。また,LH濃度は,雌雄共に30日齢以降で成長に伴い増加することが示された。
著者関連情報
© 2006 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top