抄録
【目的】日本製薬工業協会(製薬協)では、新薬の創製に不可欠な動物実験の適正な実施に取り組んでおり、その成果のひとつとして2005年1月に「動物実験に関するガイダンス(製薬協ガイダンス)」を発出した。この間、2002年に「動物の愛護及び管理に関する法律」の見直しの動きに呼応して、「動物福祉への取り組み状況」を調査する目的で製薬協会員会社へのアンケートを実施した。2005年6月には改正「動物愛護管理法」が公布された。このような状況に鑑み、製薬協ガイダンスに沿った自主管理への取り組み状況を把握する目的で、改めてアンケート調査を実施した。
【方法】2005年10月に製薬協基礎研究部会加盟の74社に対しアンケート調査を実施した。設問は、製薬協ガイダンスに沿って(1)製薬協ガイダンスの認知度、(2)動物実験の実施、(3)動物実験に係る社内規則の作成、(4)実験動物の飼育管理及び動物実験に係わる施設を管理する者(管理者)の設置、(5)動物実験委員会の設置、(6)実験動物の飼育管理及び動物実験に関わる規則等の整備、(7)動物実験計画書の作成・承認、(8)教育訓練、(9)記録の保存とした。
【結果】アンケートの回答率は100%であった。そのうち自社内で動物実験を行っている会社(2)は82.4%(61社)であった。動物実験を実施している61社の項目別回答内訳は、(1)製薬協ガイダンスの認知度:100%、(3)社内規則の作成:98.4%、(4)管理者の設置:96.7%、(5)動物実験委員会の設置:90.2%、(6)諸規則等の整備:96.7%、(7)計画書の作成・承認:93.4%、(8)教育訓練の実施:82.0%、(9)記録の保存:98.4%であった。
前回アンケート結果と比較し、自主管理への取り組みが進んでいると推察された。