日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-153
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その他-2
化学物質のGHS分類に有用な毒性情報
*森田 健石光 進小嶋 靖佐々木 史歩森川 馨
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抄録
 GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals)では、化学物質の健康有害性に関し、急性毒性、刺激性、発がん性など10項目についてGHS基準に従い有害性を分類しなければならない。そのためには、効果的な毒性情報の収集・評価が不可欠である。毒性情報は学術報告に基づくが、GHS分類のために個々の既存物質の論文を調査することは現実的ではなく、また相反する知見もあり統一的結論を導きにくい。そこで、汎用されている毒性情報源について、どの情報をどのように利用するのが効果的か検討した。各情報源を、広範性(対象毒性ならびに物性等の付随情報の有無)、深度(総合評価/結果収載/要約のいずれか)、情報トレース性(引用文献の有無、一次文献主体か否か)、国際性(審査過程の範囲/有無)、対象化学物質数、使用言語、利用容易性(ネット/成書、有料/無料)について評価した。EHC、CICAD、EU Risk Assessment Report、SIDS、ATSDR Toxicology Profiles、DFG Occupational Toxicantsなどの国際/主要各国政府機関作成の総合評価文書は、一次文献に基づいた広範な動物およびヒトにおける毒性情報やヒト疫学情報から、当該データの適切性をも考慮した独自の評価を提示している点で有用性が認められた。一方、特定分野、例えば、急性毒性、発がん性/遺伝毒性および特定標的臓器では、それぞれRTECS、IARCおよびACGIH/ICSCが有用であった。呼吸器感作性や吸引性呼吸器有害性の情報は、どの情報源においても極めて少なかった。精度の高い分類には、毒性情報の作成年次やその特徴を考慮し、複数の情報源を相補的に利用することが必要と考えられた。
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© 2006 日本毒性学会
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