日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-166
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ラットにおけるアディポフィリン陽性脂肪滴の免疫組織化学的検討
*田代 俊文林 新茂堀井 郁夫
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抄録
【目的】近年、脂肪滴形成に特異的なPATファミリー蛋白アディポフィリン、ペリリピンおよびTail-Interacting Protein of 47kDa(TIP47)と脂質代謝の関連が注目されている。今回、我々は正常ラットの全身諸臓器におけるアディポフィリン陽性の脂肪滴含有細胞の分布とそれらの細胞内局在を免疫組織化学的に検討した。【材料・方法】雌雄Crl:CD(SD)ラットの全身諸臓器を10%中性緩衝ホルマリン液に固定後、常法に従ってパラフィン包埋連続切片を作製した。一次抗体には抗アディポフィリン抗体(Progen社)を用い,アビチン・ビオチン標識酵素複合体法で免疫組織化学的に染色し鏡検した。【結果・考察】免疫組織化学的に抗アディポフィリン抗体に陽性の脂肪滴は肝細胞、胆管上皮、腎近位尿細管上皮、_II_型肺胞上皮、精巣セルトリー細胞および間細胞、精巣上体clear細胞、前立腺上皮細胞、卵巣顆粒膜ルテイン細胞および卵胞膜ルテイン細胞、子宮内膜上皮、皮脂線上皮、乳腺上皮、上皮小体細胞、副腎皮質細胞、膵外分泌細胞および腺胃絨毛先端部の上皮細胞にみられた。肝細胞では小型の脂肪滴が毛細血管極に規則正しく配列し、腎近位尿細管上皮、精巣セルトリー細胞、前立腺上皮、子宮内膜上皮、上皮小体細胞および膵臓外分泌細胞では主に核下方の基底側に局在していた。その他の上記細胞ではアディポフィリン陽性の脂肪滴が細胞質内に充満するかび漫性に認められた。なお、白色脂肪および褐色脂肪は陰性であった。以上、アディポフィリンの免疫組織化学的染色は肝臓や腎臓をはじめとする全身諸臓器における脂質代謝の形態学的検査に適用できることが示唆された。
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© 2006 日本毒性学会
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