日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-173
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免疫毒性
免疫毒性試験のT細胞サブセット解析におけるゲーティングの比較検討
*伊 廣鴻石川 洋子久保田 貴之坂口 晶紀小松 弘幸泉 幸子市川 敦子根田 公一門田 利人
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抄録
 免疫毒性試験のリンパ球サブセット検査はフローサイトメトリー法で実施されており、各サブセットを正確に算出するためには、リンパ球領域の設定(ゲーティング)はきわめて重要である。リンパ球集団の設定には前方散乱光、側方散乱光を利用するリンパ球集団の識別法やCD45等の抗体を用いたゲーティング法が用いられているが、現在確立した方法がない。今回、我々はT細胞サブセットの比(CD4+/CD8+)を解析するため、以下を検討した。(1).散乱光によるゲーティング;(2).CD45/SSCドットプロットによるCD45high 細胞集団のゲーティング;(3). CD3+ 細胞集団のゲーティング。
【方法】8週齢のCrl:CD(SD)系雄性ラットの末梢血を試料として、抗ラットFITC-CD4, PE-CD8, PerCP -CD45, APC-CD3抗体で染色し、死細胞染色にはPropidium iodideを使用した。解析にはBD社のFACSCaliburを用いた。
【結果・考察】(1) と(3)のゲーティングでは死細胞の除去により、CD4+、CD8+の絶対数の減少が見られた。また、(2)のゲーティングのCD45high 細胞集団にはリンパ球以外の細胞を含んでいることが明らかになり、これらの細胞を除去することにより、CD4+/CD8+に変化が見られた。さらに、CD3ゲーティングで得たCD4+/CD8+はCD45ゲーティング(散乱光によるリンパ球領域のゲーティングを加えた)で得たそれより高値を示した。この差はCD45+CD3-CD4+ とCD45+CD3-CD8+ 細胞集団に含まれるT細胞以外の細胞の存在に基づくことが示唆された。
【結論】CD45のゲーティングはリンパ球サブセットの解析に常用されているが、T細胞サブセットの比(CD4+/CD8+)の解析には死細胞を除去したCD3+のゲーティングがより適切であると判断された。フローサイトメーターを用いた免疫毒性試験法の確立のためには、各検査法の標準化が必要であると考えられた。
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© 2006 日本毒性学会
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