日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-197
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毒性発現機序
リトコール酸誘発肝障害の防御因子としてのコレステロール排泄促進 - リトコール酸誘発肝障害モデルマウスにおけるME3738の有効性 -
*野本 眞博宮田 昌明芝崎 茂樹黒沢 亨神藤 康弘山添 康
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抄録
【目的】胆汁酸(BA)は、肝におけるコレステロール(Cho)からの合成、代謝、胆汁への排泄ならびに腸管からの再吸収により厳密に生体内濃度が調節されている。また、これらのバランスが崩れると胆汁がうっ滞し、肝障害を生じることが知られている。我々は細胞障害性を示す二次胆汁酸であるリトコール酸(LCA)の混餌投与により作製した胆汁酸誘発肝障害モデルを用い、C型肝炎治療薬として開発中のME3738の有効性をBA及びChoの動態変化に着目し検討した。
【方法】C57BL/6N雌性マウスを用い、通常餌、0.15% ME3738、0.75% LCA、0.75% LCA+0.05% ME3738または0.75% LCA+0.15% ME3738含有餌を6日間混餌投与した。
【結果】LCA単独群では、血漿中AST、ALT及びALP活性の上昇と肝内BA及びCho濃度の増加が認められ、肝Bsep、Mdr2、Abcg5/8及びCyp7a1のmRNAレベルが低下した。ME3738併用群では、上記の肝機能パラメータはME3738の用量依存的に改善され、胆汁中BA及びCho排泄速度が上昇した。また、肝Bsep及びAbcg5/8のmRNAレベルの低下が抑制された。ME3738の単独投与では、肝Abcg5/8のmRNAレベルの増加及び胆汁中Cho排泄速度の上昇が認められたが、胆汁中BA排泄速度に大きな変動は認められなかった。
【結論】ME3738はLCA誘発肝障害を軽減した。そのメカニズムとして、胆汁中へのCho排泄の亢進に伴って、胆汁中BA排泄が増加した可能性が示唆された。そして、肝内Cho及びBA濃度が低下することにより、肝障害が抑制すると考えられた。したがって、胆汁中へのChoの排泄促進は、胆汁酸誘発肝障害の軽減に有効である可能性が示された。
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© 2006 日本毒性学会
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