日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-222
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内分泌系
4-OH-2,2',3,4',5,5',6-heptachlorobiphenylの血中甲状腺ホルモン濃度におよぼす影響
加藤 善久*玉置 尺尋久保田 万紀子生城 真一原口 浩一山田 静雄
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抄録
【目的】 4-OH-2,2',3,4',5,5',6-heptachlorobiphenyl (4-OH-CB187)の血中甲状腺ホルモン濃度におよぼす影響を3,3',4,4',5-pentachlorobiphenyl (CB126)と比較した。【方法】 TCDD高感受性C57BL/6系マウスおよびTCDD低感受性DBA/2系マウスに4-OH-CB187 (1 mg/kg)、CB126 (2.5 mg/kg)を投与し、それぞれ4、7日後に、血清中総サイロキシン(T4)、遊離T4および甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度、肝ミクロソームのグルクロン酸抱合酵素(UDP-GT)の発現量および活性を測定した。また、その時に[125I]T4を静脈内投与し、胆汁中[125I]T4のグルクロン酸抱合体の排泄量を測定した。【結果・考察】 血清中総T4および遊離T4濃度は、両マウスに4-OH-CB187を、またC57BL/6系マウスにCB126を投与したとき、有意に低下した。一方、血清中TSH濃度は、DBA/2系マウスにCB126を投与した場合にわずかに低下したが、他の場合には変化しなかった。肝臓のUGT1aの発現量、T4-UDP-GT活性および胆汁中[125I]T4のグルクロン酸抱合体の排泄量は、C57BL/6系マウスにCB126を投与した場合には有意に増加したが、両マウスに4-OH-CB187を投与した場合には変化しなかった。以上、4-OH-CB187は、低用量投与により血清中T4濃度を低下させる作用のあること、その作用はCB126よりも強力であることが明らかになった。また、CB126による血清中T4濃度の低下には、AhRを介したT4-UDP-GT活性の増加が関与しているが、4-OH-CB187による血清中T4濃度の低下には、T4-UDP-GT活性の関与はほとんどないことが示唆された。
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© 2006 日本毒性学会
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