日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-232
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トキシコキネティス/薬物代謝
銀杏中毒原因物質4’-O-Methylpyridoxineの血漿中ビタミンB6濃度への影響
*小林  大祐吉村 昭毅井上 佳恵和田 啓爾
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抄録
【目的】我々は4’-O-Methylpyridoxine (MPN)が銀杏中毒の原因物質であり、ヒトにおいて銀杏中毒時に高濃度のMPNが血漿中に存在することを明らかにしている。また、ラット肝を用いたIn vitro実験により、MPNはPyridoxal (PL)へ変換されること、水酸化、グルクロン酸抱合および硫酸抱合を受けることを明らかにしているが、In vivoにおけるMPNの体内動態に関する報告はない。そこで本研究では種差も含めた銀杏中毒のメカニズム解明を目指し、MPNを投与後のMPNの血漿中濃度推移および内因性ビタミンB6(VB6)の血漿中濃度への影響を検討した。【方法】Wistar/ST系雄性ラットにMPN (5 mg/kg)を静脈内投与した後に、経時的に採血し、血漿中に存在するMPNおよび各種VB6誘導体の濃度を測定した。MPN, MPN-5’-phosphateおよび各種VB6 誘導体[PL, Pyridoxine, Pyridoxic acid (PNA), Pyridoxal-5’-phosphate (PLP)]の濃度は、semicarbazideによる誘導体化法を組み合わせた蛍光検出HPLC法により測定した。【結果および考察】MPNは投与後速やかに消失した。また、投与後にPL濃度の増加が観察され、その後さらにPNA濃度の増加も観察された。この結果について、以下の2つの可能性が考えられた。(1)In vitroでの検討と同様にMPNからPLが生成され、PLはさらにPNAに変換された。(2)MPNは、PLからPLPを生成するpyridoxal kinase活性を阻害するため、PLが増加し続いてPNAが生成した。一方で、PLP濃度の減少が観察された。また、MPNの代謝物と考えられるピークが確認されたため、現在代謝物の同定およびそれらの血漿中濃度推移を解析中である。
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© 2006 日本毒性学会
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