日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-237
会議情報
トキシコキネティス/薬物代謝
コンピューターを用いたシミュレーションによる薬物間相互作用の定量的予測
*設楽 悦久加藤 基浩北島 正人平野 雅吉末  訓弘佐藤 均池田 敏彦鈴木 聡堀江 利治杉山 雄一
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抄録
【目的】複数の薬剤を併用する場合に、体内動態の変化に伴い、薬理効果や副作用が上昇または低下することによる相互作用が起こる可能性がある。このような速度論的相互作用を未然に防ぐためには、阻害剤併用時における実際の薬物体内動態のシミュレーションを行い、その程度を予測することが有効である。これを可能にする目的で、阻害剤薬物及び被相互作用薬の体内動態パラメータおよび阻害剤の阻害定数(Ki)を収載し、さらに体内動態のシミュレーター機能を賦与したデータベースを構築し、その有用性について検討を行った。【方法】In vitro試験で得られたKi値および実際に臨床で生じた薬物間相互作用の報告例での血中濃度推移から、WinNonlinを用いて算出したKi値(in vivo基準のKi値)を用い、生理学的モデルに基づいた血中濃度シミュレーションを行った。また、それぞれの方法で得られたKi値の比較を行った。【結果・考察】血中濃度のシミュレーションを行った場合、これまでに厚生労働省より提示されていた方法論に比べて、相互作用の程度を正確に予測することが可能であることが示された。得られたin vivo基準のKi値とin vitroで得られたKi値を比較したところ、特に脂溶性の高い薬物において大きく外れることが示され、in vitro実験でのミクロソームへの吸着が原因となって、Ki値が過大評価されている可能性があることが示された。補正を行うことでin vitro Ki値を用いた予測を行うことが可能であると考えられる。現在、mechanism-based inhibitionによる相互作用の定量的予測について検討しているところである。
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© 2006 日本毒性学会
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