日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: WS3-4
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動物実験代替法(動愛法に定められた3Rs原則の実現のために-動物実験代替法の最近の進歩-)
発生毒性試験代替法(胎児培養、EUで認められた試験法を含む)
*秋田 正治
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抄録
 本ワークショップで紹介される局所毒性試験や皮膚感作性試験などと比較し、発生毒性試験の代替法の開発は、非常に立遅れているのが現状といえる。発生毒性試験は、その一般の毒性試験の困難性に加えて、さらに胎盤と胎児の要因が加わるため、その開発の困難な状況は計り知れないものになる。発生毒性試験の開発が遅れている最も大きな原因は、まさにこの点にある。2003年3月11日に公布されたEU化粧品指令第7次改正において、代替法の開発が難しいとされる薬物動態試験、発生毒性試験、反復投与毒性試験は10年後の2013年3月11日まで達成すること、ただし開発の状況によっては期間延長もありえると記述され、その延長は必至との声も聞かれる。
そのような状況下において、発生毒性試験の開発が最も進んでいるEUのECVAMにおける現時点の見解は、マイクロマスカルチャー法、ES細胞法、胎児培養法の3手法が全て有用であるとされている。私もECVAMの見解と全く同じであり、今後発生毒性試験の代替法を確立していく場合、これらの手法の優劣を検討するのではなく、それぞれの手法の改良を進め、それぞれの欠点の可及的な克服と利点の更なる向上を目指すことが重要である。そして、予測性の向上、経費と時間の効率などの観点から、最も妥当な発生毒性試験法の代替法プロトコールを作成し、バリデーションを行うことが必要であろう。なぜならば、動物実験代替法は、単に3Rに基づくだけでなく、ハイスループット化や可及的なコスト削減も、現実に大きな課題として考えなければならないからである。
本ワークショップでは、ECVAMの現時点までの見解を基に、これら3手法の特徴について上述した内容に沿って紹介する。また現在、我々が開発中の胎児培養法の現状や動物実験代替法としての開発の方針についても説明する。さらに、胎児培養法の将来的な展望についても触れてみたい。
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© 2006 日本毒性学会
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