日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-019
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試験法:in vivo
ラット気道抵抗評価におけるPenH及び麻酔下呼吸フォローアップ試験の有用性
*阪上 明子高橋 幸久蓑輪 幸恵宮地 満池田 孝則
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抄録
【目的】覚醒下呼吸機能試験は化合物の安全性評価において不可欠である。特に気道抵抗の上昇を正確に捉えることは非常に重要である。本試験では、覚醒下及び麻酔下ラットの呼吸器の抵抗パラメータを比較し、無拘束覚醒下で測定可能なPenH(Enhanced Pause;気道抵抗の間接的指標)の正確性及び麻酔下試験の有用性を検討した。【方法】Buxco BioSystem XA呼吸解析装置を用いて、覚醒下及び麻酔下ラットの呼吸機能を測定した(7週齢雄SDラット)。呼吸器の抵抗パラメータには、覚醒下では間接的な気道抵抗指標PenH、麻酔下ではより直接的な指標Lung Resistance(RL)を用いた。薬物は、気道収縮薬メタコリン及び気道拡張薬エフェドリンを使用した。覚醒下試験ではPenH、呼吸頻度、一回換気量、毎分呼吸量を測定し、麻酔下試験ではRL及びLung Complianceを測定した。【結果】メタコリンによって、両試験ともに用量依存的に気道抵抗指標(PenH又はRL)が上昇した。エフェドリンによって、両試験ともに気道抵抗指標の低下を捉えることができた。両薬物において覚醒下と麻酔下の結果が類似していたことは、覚醒下で用いているPenHが無拘束で測定可能な気道抵抗指標として適切であり有用であることを示唆した。また、メタコリン投与による気道抵抗上昇作用は、麻酔下の方が覚醒下より低用量で観察された。本結果は麻酔下評価系の方がより高感度である可能性を示唆した。【結論】覚醒下無拘束試験で用いている間接的指標PenHが気道抵抗指標として適切であり有用であることが明らかとなった。また、麻酔下評価系はより高感度であるという可能性も示唆され、呼吸器抵抗に関する詳細な検討が必要な際には、麻酔下評価系を積極的に実施していくことも有用であると考えられた。
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© 2006 日本毒性学会
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