日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-024
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試験法:in vivo
太陽類似光を用いたキノロン薬光毒性in vivo評価
*後藤 浩一矢部 光一土屋 由美山本 由香高田 早苗山口 百合松橋 邦夫神藤 敏正古濱 和久
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抄録
キノロン薬lomefloxacin(LFLX)によるマウス光毒性誘発性を太陽類似光とultraviolet-A(UVA)で比較するとともに、太陽類似光を用いた光毒性in vivo評価条件を検討した。実験には、6週齢の雌性BALB/cAnNCrlCrlj(アルビノ)マウスおよびCrj: SKH1-hr(ヘアレス)マウスを用い、LFLXの5、10、20および40 mg/kgを静脈内単回投与した。直ちに太陽類似光(sunlight simulator SOL500)あるいはUVA(ともにUVA:1.5 ± 0.1 mW/cm2)を4時間照射後、6日間観察して、耳介(アルビノマウス)および背部皮膚(ヘアレスマウス)の変化を肉眼および組織学的に調べた。その結果、太陽類似光によるLFLXの無光毒性用量はアルビノマウスで10 mg/kg、ヘアレスマウスで5 mg/kg、UVAにおける無光毒性用量はアルビノおよびヘアレスマウスともに5 mg/kgであった。このことから、太陽類似光による光毒性検出感度はヘアレスマウスでより高いが、その光毒性誘発性はUVAよりも低いことが判明した。次に、上記と同条件下で6週齢の雌性へアレスマウスにLFLXを静脈内単回投与し(Day 1)、太陽類似光を照射して、背部皮膚の変化をDay 5まで経時的に観察した。その結果、皮膚の紅斑および浮腫が10 mg/kg以上で照射終了直後から、痂皮形成が20 mg/kgでDay 5に、40 mg/kgではDay 4から認められた。組織学的検査では、表皮の変性と壊死および真皮の浮腫と炎症性細胞浸潤が20 mg/kgでDay 3から、40 mg/kgではDay 2から認められた。以上、太陽類似光を用いた光毒性には、ヘアレスマウスが適しており、観察期間は4日間で評価可能であることが明らかとなった。
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© 2006 日本毒性学会
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