日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-47
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試験法、バイオマーカー、パノミクス、農薬、環境
遺伝子多型による毒性の差を検出する簡易濃度固定急性吸入毒性試験; アルデヒド脱水素酵素2ノックアウトマウス(Aldh2-/-)を用いた検討
*一瀬 豊日小山 倫浩松野 康二木長 健Thi Thu Phuong PHAM山口 哲右川本 俊弘
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抄録

【背景】遺伝子多型による毒性の差を検討する簡易な毒性試験の手法は確定していない。しかしながら対象人口が大きく、毒性の差が予想される遺伝子および毒物も少なくない。エタノール中間代謝産物のアセトアルデヒドは主にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)2が代謝する。日本人のおよそ半数はALDH2が不活性型であり、飲酒後フラッシング反応を示す。アセトアルデヒドは室内環境汚染物質の1つであるが、アセトアルデヒド全身曝露による毒性がALDH2不活性で異なるかは不明である。
【目的】モデル動物であるAldh2-/-マウスを用いアセトアルデヒド急性曝露時においてALDH2活性の有無により毒性症状に差はないか急性全身曝露実験を行い評価した。
【方法】Aldh2-/-および野生型マウス(Aldh2+/+)(各n=5)をアセトアルデヒド5000ppmの密閉容器に投入し 4時間全身曝露した。マウスの経過を観察とともに、曝露終了時の血中アセトアルデヒド濃度をHead space GC-MS法を用い測定した。
【結果・考察】Aldh2+/+に比べAldh2-/-は呼吸数減少、活動低下など麻酔症状が強く現れた。血中アセトアルデヒド濃度はAldh2-/- が200μmole/g、Aldh2+/+が85μmole/gとAldh2+/+に比べAldh2-/-の血中アセトアルデヒド濃度が有意に高値であった。死亡数および毒性症状をOECD TG433の分類にあてはめると、アセトアルデヒド急性曝露は1クラスの差をしめす。ヒトにおいてもALDH2不活性型のヒトはと活性型のヒトと比べ、アセトアルデヒド全身曝露毒性が強く発現する可能性がある。

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© 2007 日本毒性学会
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