日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-46
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試験法、バイオマーカー、パノミクス、農薬、環境
非RI-local lymph node assayにおけるELISA条件の影響
*五十嵐 良明山田 真生内野 正徳永 裕司
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抄録

Local lymph node assay (LLNA)原法では皮膚感作性物質によるリンパ節細胞の増殖活性を放射性物質(RI)の取り込み量で評価するが、代わりにブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込み量を指標として評価する代替法が開発され、現在、バリデーションが行われている。この非RI-LLNA法ではELISAによる吸光度の増加率(SI)を判定基準としているが、本研究では、ELISAにおいてプレートに入れる細胞数等の各種条件によってSI値が影響を受けるかどうか検討した。2,4-ジニトロクロロベンゼン(DNCB)及びα-ヘキシルけい皮酸アルデヒド (HCA)をマウスに塗布した後、BrdUを腹腔内注射し、耳介リンパ節を取り出してリンパ節重量を測定した。リンパ節細胞を遊離して、細胞数を血球計算盤で、細胞内ATP量をルシフェラーゼ発光法で、BrdU取り込み量をELISAで測定した。細胞数とATP量はほぼ同じSI値を示すが、BrdU法のSI値はこれより低い値を示し、感作性の陽性判定の基準値は低く設定する必要があった。ELISAにおける硫酸の添加の有無、及びブランクとして生理食塩水の残存量はSI値に影響しないものの、基質の反応時間は一定にすることが必要と思われた。吸光度は細胞数にほぼ相関して増加するが、ブランクとの差を得るには、プレートの各穴に1万個程度の細胞が必要であった。細胞数が少なくなるとブランクを差し引いた吸光度が急激に低下し、それに伴って試験群のSI値が上昇し、細胞数やATP量のSI値とは大きく異なった。したがって、対照群で一定レベルの吸光度値が得られるよう細胞数を調整することが、判定基準の確立には必要と思われた。同時に行った化学発光法での検討結果も合わせて報告する予定である。

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© 2007 日本毒性学会
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