日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-27
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生殖発生幼若毒性
マウス精子の形態異常マーカーとしての粒子分析装置における粒度分布曲線パラメータについて
*田山 邦昭藤谷 知子安藤 弘久保 喜一小縣 昭夫上村 尚
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抄録

【目的】我々はマウスの精子数・運動性を計測するため、粒子分析装置(CDA-500)と精子分析機(SQA-IIC)を用いた簡単・安価で再現性の高い方法を確立した(Reprod Toxicol 2006)。今回、精子数減少・形態異常を起こすことが知られているdiethylstilbestrol (DES)をマウスへ投与し、本法による検討を行った。さらに、CDA-500は電気抵抗方式により、粒子数だけでなく体積や体積相当径の粒度分布曲線表示やそれらのパラメータ算出が可能であるため、どのパラメータが形態異常マーカーとして有用であるかを調べた。【方法】投与:DESはDMSOに溶かし 0(対照), 1, 10, 100μg/kg/日の用量で哺乳期雄性マウス(Crj:CD-1)に出生1日目より2週間皮下投与し、離乳後13週齢で検査した。測定:D-MEM中で細切・押し潰し法により精巣上体尾部精子の浮遊液を作製した。粒子(精子)数を計測し濃度を一定に調整後、37℃、30分培養し、運動性と再度精子数を計測した。なお体積表示パラメータにはMEAN(粒子体積の平均値)、PEAK(粒度分布がピークになる場所の体積)、MEDI(粒子体積の中央値)、H-W(半値幅)等がある。【結果・考察】DESの投与量に比例して精子数・運動性低下や形態変化と共に、粒度分布曲線波形が対照群と異なるものが出現した。これは機器の検出領域内で抵抗値変化を起こす体積変化がみられるためで、曲線波形の異なるものは形態異常を多く伴っていた。さらに体積表示パラメータではPEAKが、体積相当径表示パラメータではMODAL(モード径:粒度分布がピークになるところの体積相当径)が、形態異常を反映した差がみられた。無処置群のPEAKあるいはMODALについて比較したところ、ほとんど差は見られなかった。以上より、本法の有用性が確認されると同時に、粒子分析装置における粒度分布曲線パラメータのPEAKあるいはMODALは、マウス精子形態異常のマーカーとして有用であると考える。

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© 2007 日本毒性学会
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