日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-28
会議情報

生殖発生幼若毒性
妊娠ラットの生殖機能(妊娠維持)および胚・胎児発生に対する1.95GHz電磁波頭部局所暴露の影響
*難波江 恭子河部 真弓市原 敏夫今井 則夫中島 弘尚戸田 庸介玉野 静光白井 智之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

携帯電話等で用いられる電磁波の頭部への局所的暴露による、妊娠ラットの生殖機能および胚・胎児発生に対する影響を検討する目的で、妊娠ラットの頭部に器官形成期である妊娠7日から17日まで1.95GHz電磁波(脳平均SAR=0.67および2.0 W/kg)を照射し、胎児の検査を行った。
妊娠ラットを妊娠7日から17日まで保定器に入れ、電磁波暴露箱内(暗条件下)で1日1.5時間、1回照射を行った。対照群として保定器に入れるのみの偽暴露群および保定器に入れない無処置対照群を設けた。妊娠ラットは妊娠期間中、毎日体重および摂餌量を測定し、妊娠20日にエーテル麻酔下にて安楽死後、帝王切開を行った。帝王切開時に肉眼的病理学検査を行い、妊娠黄体数、着床痕数、生存胎児数、胚・胎児死亡数を調べた。生存胎児は性別判定、胎盤重量測定、胎児重量測定および外表観察を実施し、さらに内臓検査および骨格検査を実施した。
照射期間中、妊娠ラットの一般状態、体重および摂餌量いずれにおいても異常は認められず、肉眼的病理学検査においても電磁波暴露の影響は認められなかった。帝王切開時の検査において、生存胎児数は無処置対照群と比較して偽暴露群で有意に多かったが、偽暴露群と電磁波照射群との間に差は認められず、電磁波暴露の影響はないと考えられた。また、妊娠黄体数、着床痕数、胚・胎児死亡率、生存胎児性比、生存胎児体重、生存胎児胎盤重量および生存胎児外表異常率いずれにおいても電磁波暴露の影響は認められなかった。さらに、胎児の内臓検査および骨格検査(骨化進行度を含む)においても電磁波暴露の影響は認められなかった。
以上、携帯電話等で用いられる電磁波(1.95GHz電磁波)の妊娠ラットの頭部への局所的暴露による、生殖機能(妊娠維持)および胚・胎児発生に対する影響を検討した結果、電磁波暴露の影響は見られなかった。

著者関連情報
© 2007 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top